ビジネスとして成立させていくには、自分のサービスを誰かに
買ってもらわなきゃいけないわけですが、
「買って!買って」
「すごくいいサービスだから!」
「きっとあなたの役に立てるよ!」
というように売り込むのは避けたいところです。
監査法人時代にクライアント先に常駐をしていた時期がありました。
監査を14年間経験した後にコンサルの部署に異動して即常駐だったので、
コンサルの何たるかを全くわかっていなかった時期です。
監査と違い毎年監査契約を結べるとは限らないので、
契約を取るということが特に重要な部署。
変なプレッシャーを感じていたのか、「常駐するからには
何かしら契約を取ってこなければ」とよくわからない意気込みを
持っていたように思います。
ある時クライアントが決算業務に非効率的な点があるのを悩んでいて、
私もその時の会話に加わっていたのですが、つい自社のサービスを売り込みたくなって
「うちは業務効率化でこんなサービスがありますよ」
「もし何か改善したいなどあればぜひおっしゃってくださいね」
ということを口走っていました。
その時のクライアントの反応は、少なくとも私から見た限りは
一歩引いていたように思います(笑顔で応対はしていただきましたが)
その反応を見たときに「あ。たとえ相手方にニーズがあったとしても、
むやみに売り込むのが逆効果になることがあるんだな」と感じた記憶があります。
自分が何かをやろうとしているときに
「ああしたらいいよ」
「こうしたらいいよ」
とどんどん言われると、逆にやる気が失せたりするのと同じ原理なのだと思います。
「かといってじっと待っていたっていつまでも仕事取れないじゃないか」
という声が聞こえてきそうですが、もちろん何もしないわけじゃありません。
クライアントが困っていること、改善したいことを親身になって聞いて、
深堀していくことに神経を集中するんです。
課題や悩みを深いレベルまで共有すると、ふとしたところで
私が監査法人に所属していて、コンサルサービスを提供していることを
クライアントが思い出してくれます。
すると「そういえば佐藤さんのところ、業務効率化や業務改善支援も
やられていましたよね。一度お話聞かせてもらえませんか?」と
自然と相手から切り出してくれるようになります。
これは、課題をひたすら深堀していったことで、
クライアントの中にある「この課題を解決しなければ」という
思いが強まるからです。
私はその思いが強まっていくのを、悩みを共有しながら
ひたすら待っていた、というわけです。
もちろん時間のかかる話ではあるので、即効性があるとは言えませんが、
売り込まれて結ぶ契約よりも、自分から「お願いしたい」となって
結ぶ契約のほうが前向きに取り組めるんじゃないでしょうか。
結果としてそのクライアントとは、業務高度化・効率化支援のご契約と、
新会計基準の導入支援のご契約をいただくことができました。
「売りたいものは売らない」精神で忍耐強く取り組んだのが実を結んだな、と
感じた経験でした。
「営業」というとこちらのできることをひたすらアピールするイメージが強いですが、
こんな営業の仕方もあるんです。
~編集後記~
- 今日は月次決算支援をリモートで。キャッシュ・フロー計算書の作成でした。またこの業務は12月までの期限つきなので、会社の方に業務をお戻しすることを念頭に引継ぎ資料の作成も。
- ライティングスキル向上のため写経と音読を。IPO実務検定HPのコラムで上場会社等監査人登録を題材にしました。
- 夕方は身体メンテのためマッサージに。日曜の発表会から続いていた身体のハリがすっかり取れました。
- 夕飯に出た鯛のお頭をおすそ分けしてもらったもんだからすっかり満足したうちの猫
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