8月29日、文部科学省が2025年度予算の概算要求を発表したとのことです。
ここでの目玉とされているのは、「教職調整額」を現在の基本給×4%から
13%に引き上げるというものです。
そもそも皆さん、学校の先生には時間外手当や休日勤務手当を支給しないことが
法律で決められていることをご存じでしょうか?
「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(略して給特法)では、
「教育職員については、時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない。」と明記されてるんです。
(第三条第2項)
この法律が最初に制定されたのは、日本が先の大戦で敗戦してから3年後の昭和23年。
文科省の言葉を借りると、
「教員の勤務時間は単純に測定することは困難であること等を踏まえ、教員給与については一般の公務員より一割程度有利に切り替えられたことに伴い、教員に対しては超過勤務手当は支給されないこととされた。」
というのが当時の経緯のようです。
昭和23年と言えば、1952年におけるサンフランシスコ講和条約の発効前であり、
未だ占領下にあった時。
そんな時代からすでに80年近くたっているにもかかわらず、この仕組みが
まったくと言っていいほど変わっていないんです。
時代錯誤にもほどがあります。
昭和43年4月に、俸給月額の4%相当を「教職特別手当」として支給する法案が閣議決定され、
国会に提出されたものの、成立には至らず廃案となっています。
廃案になった正確な理由はわかりませんが、教職特別手当以外の部分について
教職員組合や世論からの支持が得られず、その他にも政治的な理由があったのかもしれません。
昭和47年1月にようやく「国立の義務教育諸学校等の教諭等に対する教職調整額の支給等に関する特別措置法」が施行。4%の教職調整額の支給がスタートとなりますが、それでもたかだか4%です。
こうして振り返ってみると、なんだかわざとやってるんじゃないの?と思えてしまうぐらい
教員に対する処遇が戦後ひどいことになっていることがわかります。
国の教育を支えてくれる先生方に対して、なんとひどい仕打ちでしょう。
そんな経緯があって、教職調整額について今回文科省から増額予算の概算要求があったわけです。
「やれやれ、これで少しは良い方向に向かうかな」
と、思うかもしれませんが、このような文科省発表やマスコミ報道を鵜呑みにしてはいけません。
先ほどのyahoo!ニュースのコメント欄を見ると、先生と思われる方がコメントしており、
そのコメントの多くが
「我々が欲しいのはお金ではない、時間なんだ」
という趣旨なのです。
先生方は本当に激務です。
朝は早いし夜も遅い。
活発に動き回る子供たちをまとめるのは大変。
夕方~夜は部活の顧問で遅くまで。
その合間を縫って授業の準備やテストの採点など。
家庭訪問もあります。モンスターペアレントにも悩まされます。
そんな悩みを抱えている先生方に対して「報酬を増額すればきっと
喜んでもらえるだろう」と短絡的な発想を文科省はしているように私には映ります。
現場の声を全く聴いていない証拠ですね。
またこのタイミングで文科省が増額を言い出すのも、参議院・衆議院選挙が
近づいている今、選挙を見据えたパフォーマンスのように見えて仕方ありません。
もちろん生活の安定は大事です。報酬の増額自体はあってしかるべきでしょう。
しかし国の施策はどこかピントがずれている(わざとずらしている?)。
教職員の増加施策を打って先生1人当たりの負担を減らす。
学校自体に予算をもっとつけて、先生が少しでも快適に働ける職場環境を構築する。
同じく学校予算を使って専門的な分野については外部から講師を招いて授業をしてもらい、先生の業務負荷を減らす。
本来はこういうところにスポットを当てるべきなのではないでしょうか。
マスコミももっとこういうところにフォーカスして政府を追及してほしいものです。
私も微力ながら、会計士の端くれとして先生の負担を減らせるよう協力できないかと考えています。
日本公認会計士協会東京会の会計普及委員会としての活動。
まだ本格スタートはこれからですが、子どもたちだけではなく、
先生方も無理なく教育に臨んでいただけるような環境を構築すべく、
できるところから少しずつ進めていきます。
~編集後記~
- ペン字
- IPO実務検定試験上級の勉強。「IPO実務ケーススタディ」の2周目に入りました。
- 月次決算業務の初日。またまた過去に誤った仕訳があったようで、この対応に追われて思った以上に時間がかかってしまいました。
- 仲良く並んで外の様子をうかがううちの猫たち
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