何が本当の無駄か-イーロンマスクの1セントコイン廃止発言

経済

見た目上の数字だけ見ると誰もが納得しそうな理論でも、
実は別の視点も考えないと結論を誤りかねないことがあります。

トランプ大統領が、2025年1月20日に正式に大統領の座に。
早速大量の大統領令に署名し、バイデン政権までの大統領令や
政策をことごとく覆していますね。

そんなトランプ大統領のバックについて金銭的な面も含め支援していたのが、
あのイーロン=マスクなのは皆様ご存じだと思います。

そんなマスクが、トップを務める政府効率化省DOGE
(Department of Government Effciency)を通じて最近こんな発言を。

「1セント硬貨の製造コストは3セント以上で、
2023年度には1億7900万ドル以上の税金が投入された」
「1セント硬貨(もしくは3セント!)について、あなたの考えを」

1セントコイン、日本でいうところの1円玉にあたるものですね。
以前からこの1セントコインの廃止は議論があったようですが、
マスクが発言したことでさらに議論が進みそうです。

さて、1セントコインを作るのに3セント以上のコストがかかる。
確かにこれだけ見ると無駄しかないように思えますね。
ですが、果たして本当にそうなのでしょうか?
別の角度から見れば、他にも検討すべきことがあるように感じます。

話を単純化するために、国民全体が3セントしか持っていなかったとしましょう。
そしてのこの3セントが、すべて税金として徴収され、
新たな1セントコインを作るための費用に充てられた状況を考えてみてください。
この時、国全体に回るお金の量がどうなっているのか?

■税金徴収前
国民3セント+政府0セント=合計3セント

■税金徴収後
国民0セント+政府3セント=合計3セント

ここまではシンプルですね。問題はここから。
1セントコインを作るのに3セントかかる。
マスクのポストだけ見ると、まるで2セント
損しているかのように思えますが、実は
この3セントがどこに向かったのか?ということが
考慮されていません。

金は天下の回り物。使われたお金は必ず誰かの手元に届きます。
例えば、この3セントが1セントコインを作るのに携わった
労働者に回ったとします(コイン製造のための材料費はいったん無視)。

だとすると、一度税金として徴収されたこの3セントは
1セントコイン製造の過程で国民に還元された、とも言えます。
消えてなくなるわけではありません。

この前提に立った場合、国全体に回るお金はどうなるか?

■1セントコイン製造後
国民4セント(3セント+1セント)+政府0セント=4セント

どうでしょうか?
1セントコインが作られたことで、実は国全体には
4セントのお金が生まれ、経済成長が発生することになるんです。

2セント損していたと思いきや、実は1セントプラスになっています。

確かにミクロの視点で言えば、政府は3セントかけて
1セントのものを作ったのですから、2セント損したとも言えるでしょう。
一方でマクロの視点から見ると、こういうことも言えたりします。

となると、ここで浮かび上がる論点は
「1セントの経済成長を上回る3セントの使い道があるのであれば、
1セントコインの製造を廃止して、別のことにその3セントを使うべきでは?」

ということになるでしょうね。

この視点が抜け落ちていて、ただ単に「廃止!」とだけ唱えるのは、
少し視点が不十分なんじゃないかな、というのが私の考察です。

もちろん、私のこの考察が絶対正しい!というつもりはありません。
私が言いたいのは、物事は他の視点から見ると意外な見え方がするので
多面的な検討を忘れてはいけない
、ということです。

マスクは人気のある人物なので、その方の発言ということだけで
全面的に肯定する方も一定数いるように思います。
しかし、一度落ち着いて考えてみると、実は足りていなかった
別の議論があることもあります。
一つの考え方に偏らず、たくさん勉強して、なるべく
色々な視点から物事を考える癖をつけたいですね。

~編集後記~

  • 最近夜が遅くて朝が早い生活が続いていたので、今日は身体を休めることを中心に。
    おかげでだいぶ持ち直してきました。
  • 新しいタスク管理ツールを検討していて、notionをインストールしてみました。
    まだあまりいじれていないですが、まだ感触としては今のExcelのほうがよさそうな
    感じが。もうちょっと遊んでみます。
  • 布団の上で同じ姿勢で日向ぼっこしている猫親子たち
あったかいのよー(←ウメコ) あったかいよねー(なみ→)

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