「仮説思考」というのを聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
これは、以下のステップを踏むものの考え方です。
- 過去の経緯、現在置かれている環境や発生している事象等を踏まえて、今後どのような展開になりそうかの仮説を立てる
- 上記仮説を踏まえ、これに対応する自身の行動を決定し、実際に実行する
- その後上記仮説と行動が正しかったか検証し、次回の仮説と行動に役立てる
仕事上でもこの仮説思考は非常に参考になる考え方なのですが、今回はこれを使って今後の経済に関する仮説を立ててみようと思います。
テーマは「為替レート」です。
為替はいろいろな要素で変動します。政治的思惑、金融動向、人々の予測などなど。
日本のドル円為替レートはこのブログを書いている2024年8月4日現在で146円。
少し前まで160円前後を推移していたというのに、急激に変動しましたね。
そもそも、この為替レートは何をきっかけに変動するものなのでしょうか?
その要素は様々ですが、そのうち大きなものが「金利」です。
現在日本の10年物国債の金利は0.939%、一方でアメリカの10年もの国債は3.792%です。
日本は長らく超低金利政策が続いてきた一方で、アメリカでは先のインフレ対応もあってここ数年利上げが行われてきました。両国にはこれだけの金利差があるわけですね。
このように金利差がある状態だと、人々はそれぞれの通貨に対してどういう動きをとろうとするでしょうか?
合理的に行動しようとすれば、金利が高い通貨のほうが投資効率がいいです。逆に金利が低い通貨を持っていても投資効率が悪いので好まれません。
つまり
- 金利の低い国の通貨を手放す(=売る)
- 金利の高い国の通貨を欲しがる(=買う)
という行動が合理的となります。
すると
- 金利の低い国の通貨が売られる→通貨の価値が安いと判断される→通貨安
- 金利の高い国の通貨が変われる→通貨の価値が高いと判断される→通貨高
という結果が生じます。このようにして発生する取引を「円キャリートレード」と言い、為替レートの変動を生む大きな要因となります。
現実の例に当てはめると、日銀は先の金融政策決定会合で、政策金利を0.1%から0.25%に引き上げることを決定しました。
一方アメリカは、金利はここ最近据え置かれているものの、9月の会合で利下げの「可能性」について言及されています。
日本は利上げ、アメリカは利下げ(の方向性)、つまり両国間の金利差が縮まりつつあるという現状を受けて、今まで円売りドル買いという行動をとっていた投資家が、徐々に円買いドル売りにシフトし始めた、と言えることになります。
円を買うことが少し好まれるようになったため、円の価値が高くなる、すなわち円高が進んだということですね。
ここで仮説思考に戻りましょう。
おそらく日本は今後も利上げを続けるでしょう。経済への影響も考えて短期間に急激に上げるとは考えにくいですが、おそらく日銀が目標としているインフレ率2%程度と同じ水準までには挙げてくるものと考えられます。
一方米国は、インフレがある程度落ち着いてきたこともあり、今後段階的に利下げを行うことが予想されます。
つまり、今回の円高ドル安は一時的なものではなく、短期には多少乱高下はあるものの、数年単位では大きく円高ドル安が進んでいくのではないか?という仮説を立てることができますね。
この仮説は、各企業での自社における為替ポジションを踏まえた輸出入取引の方針を考える一つの大きな要素となるでしょう。
ちなみに、今回のドル円為替レートにもう一つ影響を与えうる要素があるのですが、これについてはまた次回。
~編集後記~
- ペン字
- 今日は午後から9/7出演予定のダンス発表会のリハーサル。3時間半の長丁場だったので疲れました。
- 夜は21時半から、私が尊敬する経営者である中村公一さんのZOOMオンラインセミナーでした。テーマはまさに今回の円高。無料で貴重な知見を共有いただけるので大変ありがたいです。
- おなか大公開で全く警戒心のないうちの猫
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