X(旧Twitter)でも投稿しましたが、2024年9月3日に新リース基準が公表議決されました。
確定基準の公表は翌週になるとのことだったので、
詳細についてはいったん今日は触れないとして。
私がここ最近の会計コンバージェンス(日本独自で定めてきた会計ルールを
なるべく国際標準に近づけようとする取組み)について、思っていることがあります。
それは「コンバージェンスを進めていくことが、日本が外国資本に売られていく
下地作りになっているんじゃないか」ということです。
現状の新リース公開草案にも書いているように、近年の基準新設や改正は
国際財務報告基準(IFRS)との整合を念頭に置いた、国際市場における
財務諸表の比較可能性を念頭に置いたものが大半です。
新収益認識、時価算定、会計上の見積り開示。
いずれもIFRSで定めれていたものが日本に輸入されてきた格好ですね。
またコンバージェンスとは直接の関連はないですが、東京証券取引所は今年の2月26日、
プライム上場企業に対して決算情報や適時開示情報の英文開示を2025年4月からの
義務付けを発表しています。
その趣旨は「プライム市場上場会社への更なる海外投資家の投資を呼び込み、
対話を通じた企業価値向上を促していく観点から、英文開示の拡充に向けた
上場制度の見直しを行」うというものです。
加えて、これまでの政府の方針です。
故安部元総理がNY証券取引所で行ったスピーチで「Buy My Abenomics」(私の「アベノミクス」を買いなさい)と発言し、海外からの投資を呼び込む趣旨のことを述べています(動画の19:58~)。
その後菅政権を経て現在の岸田総理もロンドンで「Invest in Kishida」と、同様に海外投資家に向けたアピールをしています。
このように海外投資家が日本に投資しやすい環境が次々と整えらえたわけですが、
さて、その結果日本経済はどうなったのでしょうか?
日本証券取引所が公表した株式分布状況調査の2023年度版を見ると、
確かに外国法人等の比率が右肩上がりになっています。
しかし、注目すべきはそこではありません。
肝心の日本の金融機関、事業法人、個人等の比率は軒並み右肩下がりになっています。
つまり日本の会社の所有権が日本人<外国人という関係になりました。
では、株主に払われる配当はどうなっているか。
これまた右肩上がりに増えています。
そして上記2つを合わせると…
これまで日本人に還元されてきた企業の利益が、株主が変わったことで海外に流出しやすい仕組みが出来上がってしまった、ということが言えてしまうのです。
せっかく我々日本人が努力して生み出した利潤が、いとも簡単に国外に流れてしまう。
そんな悲しい現実があります。
そして、そんな悲しい現実を結果としてなのか後押しすることになってしまった
会計コンバージェンスが、会計士という立場からは残念でなりません。
ちなみに私は「排外的になれ」と言っているのではありません。
日本が魅力ある市場になるのは良いことですし、投資が活発になれば
雇用の創出にもつながることもあるでしょう。
でもだからと言って、何でもかんでも海外投資家「様」とでも言わんばかりの
近年の動向は、正直に言って目に余るものがあると言わざるを得ません。
日本に投資したければ、外国人投資家の方に日本のことを学んでもらえればいいのです。
日本のおもてなし精神の悪い面が出ているように感じます。
新リース基準の施行で会計コンバージェンスはさらに一歩進みます。
また現在自民党総裁選が控えており、新たな総理が誕生しようとしていますが、
おそらくこの流れが変わることはないでしょう。
まして私個人でできることなんて本当に些細なものです。
しかし、微力は無力ではありません。
私の周りの方だけでもよいので、こういう現実があることを認識したうえで
経済活動を行ってほしい、ということを伝えていければと思います。
~編集後記~
- ペン字
- IPO実務検定試験上級の勉強2周目。会社機関の続きを。
- 月次決算支援3日目。少しビハインドを取り戻しつつあります。昨日おとといよりも少しだけ早く上がることができました。
- 椅子で寝ているお母ちゃんに上から猫パンチを浴びせるうちの猫
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