経理部に在籍していたり、決算関係のお仕事をしている人には聞きなじみがあると思いますが、
「会計」と「簿記」の違いって何?と聞かれたときにスッと答えられる人は少ないように思います。
何か似た感じがしますよね?「会計」と「簿記」って。
実はこれ、英語にすると少しわかりやすくなります。
最初に「簿記」。これは「bookkeeping」になります。
「book」は帳簿、「keeping」はこの場合は書き記す、と訳すのがいいでしょう。
つまり「帳簿に書き記す」のが「簿記」と言えるわけです。
では「会計」はどうでしょうか?
「会計」を英語にすると「Accounting」になります。
公認会計士を表す略称であるCPAも「Certified Public Accountant」と
「Account」という英単語が入っています。
この「Account」、日本語に訳すと「説明する」という意味があります。
一見、なんで会計を示す英語が「説明する」なの?と思うかもしれません。
ですが、「会計」の意味の本質を考えると、確かに「説明する」がしっくりくるはずです。
ここで、「会社」の原型ができたのはいつだったかを考えてみましょう。
これは15世紀末ごろから始まった大航海時代に端を発します。
海外にでてお金を稼ぎたい、でも自分自身には航海の技術はなく、行きたくてもいけない。
そこで思いついたのが、航海が得意な船員たちに資金を預けて代わりに海外で稼いでもらい、
帰ってきたときに分け前をもらえばいいじゃないか、という発想です。
この預けたお金が現在でいう「資本金」、分け前が「配当」に当たります。
しかし、船員たちにお金を預けると、自分たちが少しでも儲けるために
分け前をごまかそうとします。
そうなってしまってはお金を預けた側からしたらまずいので、航海中に何にお金を使ったか
どこでどういう収入があって、利益はいくらになったのか、これを船員に記録してもらって
それをもとに出資者に対して「説明」させるのです。
この「説明」がのちの「Accounting」、会計につながったと言われています。
ちなみに、船員のつけた記録、これがまさに先ほどの簿記、bookkeepingになります。
つまり「会計」と「簿記」の違いは、「会計という説明責任を果たすための手段が簿記である」
という風にまとめることができます。
現代に置き換えると、会社は1年間の業績を出資者たる株主に報告し、どれだけ資産負債があるか、
どれだけ利益を生めたかを「簿記」を使って「説明」するということになります。
出資したお金がどう使われていったのか、株主としては当然気になるところですよね。
よく「簿記の資格は取っておいた方が何かと役に立つよ」と言われたりします。
確かにそういう面もあるのですが、先ほど述べたように簿記はあくまで「手段」なので、
簿記を取ってもそれを使って何をするのかまで考えておかないと、せっかく資格を取得しても
それをなかなか活かすことはできません。
簿記を使ったその先にある「会計」も踏まえて勉強しておくと、より理解も深まるでしょう。
会計士たるもの、会計と簿記の違いはぜひ説明できるようになってみてください。
~編集後記~
- 朝一番で税理士会の面談へ。少しドキドキしながら臨みましたが、丁寧に説明いただけて大変ありがたかったです。
- 面談が終わったらその足で月次決算支援へ。第6営業日目でTB締めの日です。前月にいろいろと効率化の仕組みを作っておいたおかげで遅延することなく締めることができました。
- 昔のなみっこシリーズ。親子そろって並んでご飯中のうちの猫たち
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