耐用年数はなぜほとんど延長されない?

会計

耐用年数。
税務や会計に携わられている方なら
必ず耳にする言葉だと思います。
これっていつちゃんと法制化されたか
ご存じでしょうか?

国税庁のHP「税法上の減価償却制度の沿革」
によると、減価償却について税法上明確に
規定されたのは、戦後の昭和22年(1947年)
法人税法の全面改正のときのようです。

税法上の減価償却制度の沿革−耐用年数を中心とした一考察−(はじめに)

おそらく、当時の建築や設備製造の技術を参考に
固定資産がどれだけ保つかを考えながら
設定されたものと推測されます。

だとすると、当然技術って進歩しますよね?
すぐに壊れたりガタが来るようなものでも、
耐久性が増してどんどん長くなっていく。
そうして今があるんだと思うんです。

なんですけど、どうやらこの耐用年数、
延長されてきた経緯がほとんどないそうな。

広く文献を調べたわけじゃないですが、
見つけた範囲では平成20年度(2008年)
税制改正時の鶏卵処理加工設備が
8年から10年に延長されたくらいでしょうか。

耐用年数等の見直し(平成20年度税制改正)に関するQ&A|国税庁

もちろんすべての固定資産ではないにしろ、
少なくとも建物関係であれば、
建築技術の進歩によって風雨や災害に強くて
耐久性があって、現状の耐用年数より
はるかに長い年数使えるものなんて
ざらにあると思うんです。

にもかかわらず、税法上の耐用年数が
ほとんど変わっていないのって、
違和感しかないですよね。

まぁ会計上は「経済的耐用年数」という
考え方があるので、自社で年数を決めることも
できるっちゃできますが、
固定資産ごとに年数を検討するのも煩雑ですし、
税務と会計の調整をしなきゃいけないことを
踏まえると、税務上の耐用年数を使おう、って
なりますよね。

なので、税務上の耐用年数も、
「例えば○○年以降事業の用に供した固定資産に
ついては○年から○年に延長する」
というのが、定期的に改正されても
いいような気がします。

これも、変化に弱い日本という
お国柄がなせるわざなんでしょうか。

変わらないと実務処理を変えなくていいので
その点楽なんですが、いつまでも変わらないと
実態からどんどんかけ離れていきますよね。
それはそれでちょっと考えもの。

変わるべきでないものは大切に、
変えるべきところは積極的に変えていく。
日本人として和の心は重んじつつ、
「変えよう!」を先陣を切って
声を上げていきたいものですね。

~編集後記~

  • IPO支援のクライアントを訪問。懸案だった
    ソフトウェア会計処理が、ペンディングは
    あるものの整理自体は一段落です。
    しばらく往訪予定がないので、
    他のメンバーにフォローの引き継ぎを。
  • 明日は「ハロー!会計」で学校訪問。
    「牛丼ゲーム」という経営ゲームをします。
    今回はコーチを担当するので、講師が
    やりやすいようにしっかりサポートします。
  • お夜食がもらいたくて圧をかけるうちの猫
飯、はよ(なみ)

告知

3月に日本公認会計士協会東京会が
会計イベント「ハロー!会計」を開催します。
親子でお金のことを学べる貴重なイベント。
参加無料なのでぜひ足を運んでみてください!

詳細はこちら

【小学生】
日 時:2025年3月20日(木・祝)
    14:00~16:00
    ※13:30開場。13:50までに
    会場にお越しください。
会 場:公認会計士会館 ホール1
対 象:小学4~6年生
参加費:無料
定 員:60名(先着順)
※定員に達したみたいです。

【中学生】
日 時:2025年3月16日(日)
    14:00~16:30
    ※13:30開場。13:50までに
    会場にお越しください。
会 場:公認会計士会館 ホール1
対 象:中学1~3年生
定 員:84名(先着順)